吾峠呼世晴短編集発売開始!
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はっ!!
すいません、表紙が素晴らしすぎて見惚れてました。
いやしかし、
すでに表紙から最高すぎる。
中身が最高なのは買う前から分かってたけど外観が予想の斜め上に素晴らしかったです。
この記事にたどり着いた人はみんな吾峠呼世晴先生と鬼滅の刃のファンだと思います。
が、念のため説明を。
皆さんは鬼滅の刃という漫画をご存知でしょうか。
『鬼滅の刃』(きめつのやいば)は、吾峠呼世晴による日本の漫画。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2016年11号より連載中。大正時代を舞台に、主人公が家族を殺した「鬼」と呼ばれる敵や鬼と化した妹を人間に戻す方法を探すために戦う姿を描く和風剣戟奇譚[2]。単行本の累計発行部数は2019年9月29日時点で1200万部を突破している[3]。
ウィキペディアより引用
僕はこの漫画が始まった時から大ファンでして、ハンターハンターがジャンプから消えた後も僕の心を明るく照らし続けてくれた救世主的漫画です。
どれくらい好きかというと鬼滅の刃だけは単行本全巻を紙と電子版両方買い続けてたり、ドラクエ10という全く関係ないネトゲ内で鬼滅の刃集会を開催するくらい好きです。
そんな鬼滅の刃を描いている人が吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)先生。通称ワニ先生です。(自画像がワニ)
そのワニ先生は鬼滅の刃の連載を始める前に4つの読切作品を描いてまして(そのうち一作は漫画賞への投稿作)その読切作品を一つの単行本にまとめたものが冒頭で紹介した吾峠呼世晴短編集です。
この読切がまたとんでもない傑作だらけで鬼滅の刃の連載が始まってからもずっと
吾峠先生の短編集出してくんねえかなー!!絶対買うのに!!
と長年待ち望んでいたわけです。
鬼滅の刃の前身となる『過狩り狩り』
少年誌とは思えない異色の主人公と結末が話題になった『文殊史郎兄弟』
悲しき献身。人の心に棲む悪を断つ心優しき青年の物語『肋骨さん』
毒をもって悪を断つ。ダークヒーロー活劇「蠅庭のジグザグ』
どの作品も今までの少年漫画の概念を覆す超・超大傑作です。
そして2019年10月4日
ついに全俺の夢が叶う!!!
というわけでこの記事では僕がこの吾峠呼世晴短編集を読んで感じたことを書いていこうと思います。
ただ、僕はこの感想を読んでもらう前にに実際に本を買って読んでほしい。
いわゆるネタバレ的な内容も書きますので新鮮さを味わいたいなら実際に買ってから読んでください。
極端に言えば今すぐこの記事を閉じて本屋行くか電子書籍のサイト開いて短編集買ってほしい!!!
たった500円足らずでこの傑作を読めるなら安いもんですよ!!!
まだ読んでないけどネタバレ気にしない人はこのままお読みください。
過狩り狩り
吾峠先生のジャンプ漫画賞投稿作ですね。
表紙からすでに通常の少年漫画にはない異質さが漂ってます。主人公らしき人物の顔をあえて隠す漫画ってなかなかない気がします。
こうしてみると鬼滅の刃の連載に至るまで確実に画力は上がってるんですね。
この漫画は今読むのと受賞当時に読むのではかなり感じ方が変わってくる作品だと思います。
というのもこの作品はぶっちゃけ鬼滅の刃の世界の過去にあったかもしれないストーリーになってます。
鬼滅の刃で炭治郎が浅草で出会った珠代と兪史郎がこの作品にすでに登場してるんです。
そして顔はだいぶブサイク連載版とだいぶ違うけど鬼舞辻無惨らしき人物も登場してます。
ちなみに主人公の師らしき老人は鱗滝さんの原型でしょうがこの読切では天狗のお面は被ってません。
鬼滅の刃を知ってる人がこの作品を読むと内容も分かりやすく、なおかつ新鮮に読むことができると思います。
ところが受賞当時は鬼滅の刃はまだ影も形もないわけです。当たり前だけど。
僕は当時この漫画を読み終わった時、
なんだか凄いものを読んだ気がするけど肝心の話の意味が何回か読まないと理解できない・・・
と思いました。
説明不足で荒削りなのは否めないけどとてつもないセンスを感じる。受賞したのが佳作というのがすごく納得したことを覚えてます。
鬼滅の刃のキャラ設定を知って読むと、感じ方が当時とだいぶ違いますね。
特に兪史郎は澄ました顔してるけど、
どうせ頭の中はいつも通り珠代様のことでいっぱいなんだろうなw
とか想像しながら読むと面白いです。
話の構成としては主人公の過去と吸血鬼たちの小競り合いが錯綜しながら進んでいきます。主人公サイドの話は前述の通り鬼滅の知識があると話の筋が分かりやすいです。
過狩り狩りには主人公の敵として鬼滅の刃では未登場の国外の吸血鬼が登場します。
鬼滅の刃には外国の鬼って出るんですかね?
現在連載中の無限城編が鬼滅の刃最終章という噂もあるので、このまま本当に終わるのか、それともまさかの第2部海外編が始まる可能性もあるのかもしれません。
鬼舞辻無惨が最初に生まれた鬼というのは鬼滅の刃という作品上の設定なのか鬼殺隊の認識に過ぎないのかで解釈が変わりそうです。
個人的には海外編は違和感しかないのでやって欲しくはないですけど(笑)。
かといって終わって欲しくもないんだよな。
でも吾峠先生の次の作品を見たい気持ちも大きい。
とにかく吾峠先生が漫画を描き続けてくれる限りついていきます!
話がちょっと脱線しました。
この漫画の1番のびっくりポイントは主人公にほぼセリフがないこと!
なんとモノローグ(心の声)を除けばラスト一コマしかセリフがないんです!そんなことある!?
主人公は人間側の味方なんだけど最後まで得体がしれない存在として描かれます。
少年漫画は読者と主人公の感情を同調させるのが普通なんですけど、この作品は敵側が読者の気持ちを代弁してるところが秀逸です。
鬼「何なんだ これは なんなのだ こいつは」
鬼の感じる恐怖心と読者の気持ちが共感として代弁されているシーンです。
特に主人公が鬼の前に初めて姿を現し刀を抜くシーンは大ゴマの迫力とともにやべえ奴が来た感が半端ない。
なぜ俺の力が届かない
俺の腕はどこにいった
おかしい おかしい おかしい!!
なぜ俺の 首が飛ぶ
この鬼のモノローグとともに流れるように斬り伏せられるシーンが鳥肌モノの格好良さ。不思議と文学的な美しさも感じます。
このストーリーを誰のアドバイスもなく単独で描き切った吾峠先生が凄すぎる。
初作品からすでに鬼才の片鱗が見えてました。
ちなみにこの読切の主人公が連載中の炭治郎に変わるまで紆余曲折があったようで詳しくは鬼滅の刃ファンブックに記載されてます。
興味があったらこちらもどうぞ。
最後に、この読切の時の髪が乱れた珠代さん色っぽくて好きです(笑)。
文殊史郎兄弟
この記事の最初に紹介した短編集の表紙になった作品。文殊史郎兄弟。
ツイッターでは蛇柱の伊黒小芭(いぐろおばない)さんに似てる!ってコメントが多かったです。言われてみれば似てる。
個人的には最初期の義勇さんのほうが雰囲気が似てると思いましたけどどうでしょう?
殺し屋の家系に生まれた兄弟と父を惨殺された1人の少女の物語。
文殊史郎は姓名じゃなくて苗字です。
兄の名前が文殊史郎聖正(もんじゅしろうまさただ)
弟が文殊史郎馬畝(もんじゅしろううまうね)です。
この頃から鬼滅の刃のキャラ名難しすぎ問題の片鱗を見せてますねw
この作品は個人的に今回の短編集の中でも異質中の異質の作品。
少年漫画としてはあまりに救いがない。
担当編集よくこのネーム通したなと思う。
これを連載作品にしようと考えてた吾峠先生はやっぱり変人だと思う。
しかも連載諦めた理由の一つが虫が苦手だからってどういうこと?なんで書こうと思ったのかが謎すぎる。
たしか増刊号でこのカラーページ見た瞬間
なんだこの絵!?気持ち悪!!
としか思わなかったなあ(笑)。流し読みでいいやとか思いながら読み始めたのを覚えてます。
そしたら引き込まれる引き込まれる。
虫の絵は気持ち悪いけど演出と台詞回しのセンスでぐんぐん読ませる。
敵役の説明を物語冒頭1ページで済ませる地味に凄い構成から物語の幕は開けます。
まず弟の馬畝。こいつはまず喋り方が特徴的。
兄のピアノの音に
うぅる せぇええ
と一言。これが物語第一声。なんとなく鬼滅の煉獄さんに顔が似てる。
電車の中でたまに見る極力関わりたくない人のような恐怖感があります。
馬畝が殺し屋と呼ばれている所を目撃した少女静伽(しずか)は全財産を対価に父の仇である甑岳厳道(こしきだきいわみち)を殺してほしいと依頼します。
この時の静伽は半ば自暴自棄状態ですね。本当は殺し屋なんているわけないと気づいてます。
それでも何かにすがらないと正気を保っていられなかったんでしょう。
誤算だったのは話しかけた人物が想像していた以上にやばい奴だったことです。
報酬にと取り出した母の形見の指輪を差し出された指ごと口に含む馬畝。
指についたヨダレを見て絶句する静伽。
実際、現実でやばい人に話しかけちゃった時って静伽みたいなリアクションとっちゃう気がします。
そして強引に引きずられてたどり着いたのは文殊史郎家。
その一室で一心不乱にピアノを弾く文殊史郎聖正。
演奏を褒めた静伽に興味を示します。
このときの
「そこに」
イスを指さす聖正。
「座って聴いてもいいよ」
このシーンが無性に好きです。一コマ間を空けるのがたまらん。
そして聖正が語り出したのは自身のピアノに対する異常な偏愛。
連載になれば具体的な理由も語られたのかもしれませんが結局読切では好きという説明だけで理由は分からずじまい。うーん歯がゆい。
ただ、なんとなく予想をしてみる。
聖正は静伽の依頼を受ける理由に
君の音は不快じゃない そう 君の
心臓の音がね
と発言してます。
このことから聖正は聴力が異常に鋭いことが分かります。
そして部屋に並ぶ空調設備。それでも満足には程遠くさらなる設備を欲している。
聖正は綺麗なものを好んでいる。
でも世の中には綺麗なものより汚いものに接することの方が圧倒的に多いです。
つまり聖正は
世の中の不快な音を遮るためには自分自身で美しい音を作り続けるしかない
という結論に至ったのではないでしょうか。
まあこの結論からだとヴァイオリンとか他の楽器でもでもよくない?とか思ったけど、そこはピアノの音が特に好みだったってことにしときましょう。
以上僕の予想でした。感想に戻ります。
孤児院施設「愛児院」に帰った静伽は施設職員の「今までどこに行ってた!」という説教も上の空にその場にしゃがみ込みます。
さっきまで起こったことは現実だっんだろうか。ひょっとして白昼夢でも見たんだろうか?
みたいな顔してますね。
安心してください 現実です。
その日の夜にターゲットの屋敷に正面突破で突撃する文殊史郎兄弟。
聖正の喉の虫の金切り声で敵陣モニター室の護衛は全滅します。強!w
てことは弟も虫を操って攻撃すんのかな、と思った次のページで馬畝変身!
いやお前自身が虫になんのかよ!w
斬新すぎるわ。
あと聖正の馬畝に対する発言がいちいち辛辣で笑う。
ホントにうるさいな いちいちうるさい
死ねばいいのにな
この2人いったい何歳なんだろ?
学生なら兄弟がウザく感じるのはなんとなくわかるけど、成人しててこの発言はガチでひどい(笑)。
金切り声で無線機を壊す聖正。
暴れまくるバケモノ馬畝。
なんだかんだで息合ってるのかな?
この時点で敵の護衛は馬畝が着ぐるみだと思ってます。
ここで場面が転換し文殊史郎兄弟の過去の会話シーン。
弟の馬畝は幼い頃から殺し屋の跡を継ぐために父親から虐待レベルの訓練を受けていたことが判明します。
このシーンの兄弟の会話がマジで放送コードギリギリでヤバすぎる。
聖正「多分お前虐待されてるんだよ 児童相談所へ行けよ」
馬畝「じどうそおだんじょってぇ 行ったらどおなんのォ」
聖正「さあね パンの耳でもくれるんじゃないか?」
馬畝「パンの耳ィィ 食べたあい お腹がすいてぇ すいてぇ たまらなあぁい 何でもいいから食べたぁあい 父さんでもいいからぁ たべたぁあいぃい!!」
このシーン読んだ時にあらためて
これ描いた人はヤベエ人だ
と確信しました。
よくここから竃門兄妹になったなと思う。
一方、護衛兵にも数名ですが有能な人物が存在するのがリアルです。
漫画上はただのモブでもちゃんと考えて行動してると、
ああこいつも血の通った1人の人間なんだよなあ
と実感できてより物語の中へ没入できて漫画の面白さが増す気がします。
着ぐるみではなくマジモンの化け物だと分かった後も冷静に状況を判断し動く護衛兵の九頭。
一時は馬畝を捕まえて射殺する一歩手前まで追い詰めます。
「ワアァ ヤダアァ 撃たれたくなぁあい」
直後まさかの脱皮で銃弾避けられ反撃をくらってしまいました。万事休す。
その上銃刀法違反を咎める馬畝。
児童相談所も分からなかったのに銃刀法違反が理解できる程度には成長してるみたいです(そこ?)
鉤爪で人を八つ裂きにしまくってる奴に言われてもなんだかなあと思う。
ここで突然兄と自分の自己紹介をし始める馬畝。
どうやらターゲットの甑岳厳道の場所を教えてくれないのはまだ自分が名乗ってなかったからと思ったみたいです。
「人に物を尋ねる時はまず自分から」と両親に躾けられてるんですかね?
本編には登場しませんでしたが、短編集の巻末ページに文殊史郎兄弟の両親と妹の設定画が載ってます。
あ、父親は後ろ姿だけ漫画に登場してますね。
この設定画の母親と妹を見れただけでもこの短編集買った甲斐あったなと思えるくらい素晴らしいキャラデザでした。
これはマジで実際に買って見てほしい。
妹の名前は文殊史郎砂与(もんじゅしろうすなよ)。めちゃくちゃ可愛いくてびびった!!兄弟と全然似てねえ。
ちなみになぜか設定画のポーズが開脚しててエロいです。めっちゃいいふとももしてんな。禰豆子と甲乙つけがたいレベル。
鬼滅の刃にはいないタイプの女の子ですね。伊之助が現代女子に転生したらこんな感じになりそう。
そんな可愛い子なのに馬畝と同じく虫に変身します。ビジュアルは馬畝よりは大人しめ。
ただし脱皮するとさらにアゴがしゃくれます。
この設定必要?
もし連載になってたらどうなってたんだろう。この子が虫に変身して読者人気出る気がしないんだけど。むしろ非難轟々やろ。
鬼滅の刃でこの設定が生かされなくて本当に良かったと思う。もし虫柱のしのぶさんが虫に変身してたらジャンプ破り捨ててたわ。
九頭「言うわけないだろう お前が名乗ってないとか 尋ね方が悪いとかではなく」
馬畝「えええーーーーー!?」
名乗ってもターゲットの居場所を教えてもらえなかったことにショックを受ける馬畝w
そして場面は甑岳の応接間へ移ります。
ノドの虫の能力で声帯を変え、敵を欺き入室する兄の聖正。
瞬時に銃を構え発砲する護衛の2人。敵の行動が冷静だと緊迫感あっていいですよね。
ノドの虫の音の振動で弾丸の軌道をずらす聖正。
このシーンが個人的に文殊史郎兄弟の最大の見せ場ゴマ。
まるで何事もなかったかのようにバタンとドアを閉める聖正。
一瞬全ての時が止まったかのような感覚になります。なにこの空気感。最高か。
護衛の2人も応戦しますが、聖正の虫の能力と体術になす術なく倒されます。
誰が自分を殺せと頼んだのかと依頼主を尋ねる厳道
守秘義務があると淡々と答える聖正
迷って外に出ちゃった馬畝(笑)
その後、テレビの報道で甑岳厳道が殺害されたことを知る静伽。
父の仇は死んだ。
けどそれが何?そんなのどうでもいいからお父さんを返してと泣き崩れる静伽。
静伽の心が救われることがないまま物語の幕は閉じます・・・。
うん、少年誌のオチじゃない(笑)
連載になってたらここから徐々に静伽の心が救われていくストーリーになっていたかもしれないですね。
今までも、そしてこれからも文殊史郎兄弟は粛々と仕事をこなすだけなんでしょう。
ただ、依頼主の心が綺麗であることが仕事を受ける条件であることによって結果的に勧善懲悪のストーリーになってるのが面白いです。
その後の静伽の人生が少しでも心安らかであることを願います。
さて、短編はあと2作残ってますけど、ちょっと長くなったので中編へ続きます。
特に次の作品「肋骨さん」は短編集の中で1番好きな作品なので時間があるときにじっくり書きたいと思います。
それでは今日はこの辺で。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
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