夏休みの再放送
ダイの大冒険は子供の頃、夏休みに兄と一緒に昼間再放送をしてたのを夢中になって見ていたのをよく覚えてる。
夏休みだけのアニメ枠でタッチの再放送と同じくらい楽しみにしてた。関係ないけどタッチの放送って毎年いつも途中から始まってた気がする。
あまりにも先が気になりすぎて兄とお金を出し合って原作コミックスを近所の本屋まで買いに行ったりもした。
下校中に置き傘を持って帰るときなんかみんな当たり前のように傘を逆手に持ってアバンストラッシュ。アバンストラッシュの後はるろ剣の「牙突」が流行ったりもした。
夏休みのある日のこと。
その日もいつも通りダイの大冒険の再放送を兄と一緒に見ていた。フレイザードとの戦いが終わり、ついにバラン編が始まると僕も兄もワクワクして見ていた。
そしてついにダイとバランとの邂逅。そしてバトル。ここからダイが○◯◯◯になって・・・(来年アニメ化なので伏せます)
ならなかった。
そう、ならなかったのだ。そして突如のナレーション
「負けるな!勇者ダイ!」
完
※記憶で書いてるので間違ってるかもしれません。でもこんな感じのことを言ってたはず。
終わった・・・!?
これを見た瞬間、僕は手に持ってたガリガリくんをポトッと家の畳の上に落とした。
兄「は?・・え?・・いやいやまさか(笑)・・明日はこの続きやるよね?」
たけし「いや・・やるでしょ?・・え?だって・・バラン編は?」
小学生だった自分には何が起こったか分からなかった。
TBSの上層部がバラエティ番組の枠を増やしたいからと改編期にアニメ枠を潰して打ち切りになったなんて大人の都合は少年時代の僕には全くわからなかった。
それからは翌日も、そして明後日も、
新聞のテレビ欄にも いつもの再放送の時間にチャンネルを合わせても
僕の目の前にダイの大冒険のアニメが映ることはなかった。
その後、原作漫画はジャンプ史上例を見ないほどの完成度を誇る大傑作として無事完結した。
通常アニメが終わると原作漫画は人気が落ちるものなのだがダイの大冒険はアニメ終了後に人気が加速した稀有な例と言えるだろう。
ただ、もしあのままアニメが打ち切りにならず続いていたらどうだったんだろう。原作のバーンパレス編の感動をアニメで堪能することができたんだろうか。
あの夏の日の出来事は今でも僕の中で苦い記憶として燻り続けている。
そしてあれから数十年。僕は中年のおっさんになった。
今言えることは多くない。
どの局で? どの時間帯で? 何クールで?
語るには情報が少な過ぎるからだ。
ただそれでも今は
少年時代に失った憧れが 大人になった僕の目の前に あの時以上のクオリティで帰ってきてくれたことを素直に歓喜としようと思う。
そして新アニメ版のダイがバランと出会った時。子供の頃に途切れた物語がまた動き出した時。
きっとまた僕はビニールの包装をビリッと破りガリガリくんを口いっぱいに頬張るのだ。
畳の上に落として半分食べ損ねた あの夏の日のように。
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